きみとバンド史上最大規模のワンマンライブ「きみとZepp」(8月20日)をレポート

きみとバンド

2022年8月20日(土)Zepp Hanedaにて行われた、きみとバンドのワンマンライブ「きみとZepp」をレポート。

バンド史上最大級規模のワンマンに挑む

2020年にデビューをした、スリーピースガールズバンド「きみとバンド」。可愛らしいルックスもさることながら、本格的な歌と演奏で幅広い層のファンを獲得している。そんなきみとバンドは、2022年より新体制での活動がスタート。音楽性をさらにパワーアップさせ、今回、きみとバンド史上最大級規模のZepp Hanedaワンマンに臨んだ。

ステージを覆うスクリーンに、彼女たちの軌跡をたどる映像が映し出される。
徐々にクラップが大きくなっていき、メンバーの登場を今か今かと待ちわびる会場。軽快なシンバルの音が鳴り響き、スクリーンが降りる。
きみとバンドの盛大なワンマンライブが、文字通り幕を開けた瞬間だった。

1曲目は、オープニングに相応しい曲『きみとバンド』。力強いサウンドが響く、ポップな楽曲だ。「きみと、きみと」という歌詞にあわせて指差しをする、ファンサービス精神も忘れない。2曲目はディスコチューンな『スローモーション』、3曲目はロックかつメロディアスなサウンドが耳に残る『はなればなれ』を演奏。1回目のMCでは、清原梨央が「Zeppソールドアウトありがとうございます! この景色を見て、きみとバンドってこんなにファンの方いたの? ってびっくりしています(笑)。でも、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と、大勢のファンで埋め尽くされた客席を見ながら喜びを語った。

大野真依「次はやっぱり日本武道館に立ちたい」大きな目標を語る

大野真依の「きみとバンドにとって大切な曲を演奏します」という振りで始まったのは、『amulet』。エモーショナルなメロディに、キュートな歌声が切なく響く1曲だ。

大野真依

続く5曲目はボーカル2人のハモリが美しい『rosemary』。6曲目は、森田理紗子の伸びやかな歌声が印象的な『シャボン玉』を披露。
7曲目の前には、清原が「学生時代は学校に行けない時期もあって、人と関わることも苦手で、避けて過ごしてきました。それが今では、同じ夢を持ち、一緒に頑張ってくれる仲間と出会って、何より、この景色が全てなんですけど、人と人との繋がりが広がっていったとき、こんなに幸せな空間が生まれるんだなっていうことを知りました」と涙ながらに語り、歌ったのは『オレンジ色の世界』。これまでの曲とは少し違った、力強くロックテイストな楽曲。タイトルの通りオレンジ色に染まったステージで、迫力のある演奏と胸を打つ歌声が響き渡った。

森田理紗子

その後、ちょっぴりジャジーなバラード曲『きみとふたり』と、清原と森田のユニゾンが美しい『蝉しぐれ』、軽やかなリズムにあわせて手拍子で盛り上がる『レリビ☆』を披露。

清原梨央

そして迎えた3回目のMCでは、大野が思いの丈を語る。「私たちは楽器を持ってから2年ほどで、音楽のことも分からない部分がたくさんあるんですけど、でも自分たちなりに、今日まで頑張ってきました。それと同時に、音楽以外のことも頑張ってきました。でも、普通のバンドがしないようなことをしていると、色んな声が聞こえてきてしまうときもあって。時には傷ついてしまったり。そういう声は本当に少数なんですけど、悩んだり、くよくよしちゃったり。でも、やっぱり止まるわけにはいかないので。私たちなりに泥臭く頑張っていたら、見てくれている人は、見てくれているんだなって、気付くことができました。これからも色んな目標に向かって頑張っていきたいんですけど、次は、やっぱり日本武道館に立ちたいなと思っています」と、大きな夢を吐露。その後、「武道館でこの曲を一緒に歌いましょう!」という言葉とともに、力強いサウンドに心揺さぶられる『あの場所へ』を熱唱した。

12曲目は、ポップで元気な楽曲『恋のモンスター』。曲後半で金テープが舞い上がり、会場の盛り上がりは最高潮に。
ラストは『∞YAKEN』。「愛媛が好きやけん」という歌詞を「Zeppが好きやけん」に変え、飛び跳ねながら歌うメンバーたち。レベルの高い演奏と、圧倒的な歌唱力、最高のライブパフォーマンスで会場をひとつにして、ライブ本編は終了した。

アンコールも全力のパフォーマンスで会場を沸かす

鳴りやまないアンコールのクラップを受け、ライブTシャツ姿のメンバーがふたたびステージに登場。
少し前に新型コロナにかかってしまったという大野だが、「誰ひとり欠けることなく今日を迎えられて嬉しいです。アンコールで残り少ないけれど、最後まで楽しんでいってください」と笑顔で語った。

アンコール1曲目は、爽やかでアコースティックなサウンドに惹かれる『スタートライン』。海のような水色の光が、メンバーたちを美しく照らす。続くアンコール2曲目は、アイドルな清原梨央・りーおんが突如降臨し、キュートに『きみが好き』を披露。ひたすら可愛くレスを飛ばしまくるりーおんに、沸き上がる会場。曲が終わった瞬間に素の清原に戻るという茶番も挟みつつ、アンコールもあっという間に終盤に。

清原梨央

最後に思いを語ったのは、加入半年でZepp Hanedaの舞台に立つ、森田。きみとバンドに入る前まではソロでシンガーソングライターをしていたという彼女は、「ゴールが見えないまま頑張り続けるのはすごく辛くて、もうやめてしまいたいなと思ったことも何回もありました。でも、そのたびに、応援してくれる人達が私を救い上げてくれました。きみとバンドに加入してからは、メンバーや”きみ”の皆さんが、私が俯いてしまいそうになるたびに、前を向く勇気をくれました。私の周りには、たくさん応援してくれる人が、一緒に夢を追いかけてくれる人がいて。よく、夢を語ったら笑われてしまったとか、そんなの無理だよってバカにされたりとか、それで見返してやるって話を聞いたりもするんですけど、誰ひとり、私の夢を笑いませんでした。私が頑張って来られたのは、間違いなく、頑張れる環境にあったからです。そのおかげで、頑張ってきたことは裏切らないって、強く思うことができました」と、これまで応援してくれた全ての人への感謝を述べた。

そんなアンコール3曲目は『歌にのせて』。言葉だけでは伝えきれなかった熱い思いを、歌にのせて、より強く響かせた。
そして、アンコールラストの曲は『rebirth』。盛大なワンマンの最後に相応しい、切なくも、明日への活力をもらえる一曲。後半の盛り上がりと、「今日が誕生日」というポジティブなワードに目頭が熱くなる。大きな拍手に包まれながら、ライブは大成功のうちに幕を閉じた。

 

セットリスト

きみとバンド

きみとバンド
スローモーション
はなればなれ
–MC–
amulet
rosemary
シャボン玉
–MC–
オレンジ色の世界
–MC–
きみとふたり
蟬しぐれ
レリビ☆
–MC–
あの場所へ
–MC–
恋のモンスター
∞YAKEN

–アンコール–
スタートライン
きみが好き
歌にのせて
rebirth

 

終演後インタビュー

推:ライブを終えて、今の率直なお気持ちを教えてください。

清原:アンコールの曲も全部終わって、みんなに手を振っていたとき、その景色が本当に素敵すぎて。今までの人生で見てきたものの中で一番感動的でした。同じ景色は見られないと思うので、すごくかけがえのない時間に感じましたね。今はすごく寂しくて、明日の自分が心配です(笑)

大野:今までも合宿だったり、何度も合わせてきたりしたんですけど、今日はすっごく緊張してて。結構ガチガチだったんですけど、始まった瞬間から、意外と緊張がなくて。それはファンのみんなのパワーだったのか、本当に不思議で、楽しかったという感情しか今は残ってないです。本当に最高のライブでした。

森田:Zeppのために何時間も何時間も練習して、個人練習もあって、一人で練習しながら心が折れそうになった日も、メンバー各々あったかなと思うんですけど、いざやってみたらあっという間もあっという間で。あと2、3回できるかなって(笑)。本当に楽しくて、明日も明後日もやりたいくらいです。

 

推:今日のライブを迎えるまでに、苦労したエピソードを教えてください。

森田:私はいつもアコースティックギターを持って演奏してるんですけど、初めてエレキギターを持つことになって。練習を始めたのが一ヶ月前とか、結構急だったんですよ。同じギターでも勝手が違うところもありますし、別の楽器みたいな感じだったので、本当に不安で。毎日、何時間も同じところを練習したりして、大変だったんですけど、今回でエレキの楽しさを知ることができたので、今後もやりたいなと思ってます。

大野:技術はまだまだなんですけど、ちょっとドラムとか音楽のことを学んではいるので、「うまく演奏しなきゃ」とか、完璧にしないとっていうことを思ってしまっていて。考えれば考えるほどミスしたりして、結構、精神面のコントロールが難しかった時期もありました。でも、今日、こんな素敵なステージができたので、自信は少しついたかなと思います。

清原:Zeppに向けて頑張ることはたくさんあったんですけど、その間ライブは少なかったので、ファンの方とお会いする機会がなかなかなくて。Zeppを待ってくれている人達が本当にいるのかっていう、想像力がどんどん落ちてきちゃって、一人で頑張っているような気がしてきてしまったんです。そこから自分を奮い立たせるのが大変でしたし、やっぱり集客には本当に苦労して。配信など色々やってきたのですが、チケットを一枚売るのすら難しかったりして。でも、自分達でどうやって客席を埋めていくか考えるきっかけになったので、環境には感謝しています。

 

推:日本武道館への意気込みを教えてください。

大野:もちろん、簡単なことではないと思ってます。今回のZeppも集客はかなり苦労したんですけど、私たちに不可能はないと思っているので、何十倍、何百倍も頑張って武道館を埋めたいと思います。

森田:音楽をやっていたら一度は夢見る、日本武道館。叶えられる人は本当に一握りもいないと思います。今回、Zeppという大きなステージで、素晴らしい景色を見てしまって、もう後には引けないので。日本武道館を目指してもっともっと頑張っていきたいです。

清原:ここまで来たらやるしかないと思ってるし、ガールズバンドの頂点を目指すつもりで頑張ってきたので、なんでもやって、誰よりも努力して、今回みたいにみんなの力と、“きみ”の力をお借りして、絶対に実現させたいと思います。

 

ライブ画像ギャラリー

テキスト:渡辺ありさ
撮影:ケン木村

きみとバンド
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