9月19日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)でワンマンライブを行う、7人組アイドルグループ・Appare!の連載企画。本企画はワンマンに対するメンバーそれぞれの心境や、これまでの活動を深掘りする内容となっている。
5人目は、最年少でありながらMCを務めるしっかり者・黄色担当の七瀬れあが登場。
このグループの新メンバーは自分じゃなきゃダメなんだ
推:小さい頃は、どんな子供でしたか。
結構やんちゃで、よく怒られたり呼び出されたりしていました。「話しかけるのが怖い」って言われる系の……男女問わずガンを飛ばすタイプでした(笑)。
推:めちゃめちゃ尖ってるじゃないですか(笑)。
だけど、中学を境に性格が丸くなったんです。クラスメイトだった子に「あの頃は怖くて話しかけられなかったんだけど、実は仲良くなりたかったんだ」と言われたこともありましたね(笑)。
推:部活は何かやっていました?
小学生の頃からバレーボールをやっていたんですけど、中学では文化部に行きたくて合唱部に入りました。それで中学3年生の終わりに、「天晴れ!原宿」のオーディションを受けて。
推:グループのことは前から好きだったんですか。
はい。2017年の「アイドル横丁」で初めて「天晴れ!原宿」のライブを観た時に、すごく素敵なグループだなと思って、そこから大好きになりました。それまでは見るだけで満足していて、入りたいと思うことはなかったんです。だけど、私の好きだったメンバーの卒業に伴い、新たにオーディションが開かれることになって。そこで「私はこのグループに入りたい。新メンバーは自分じゃなきゃダメだ」という、抱いたことのない感情になったんです。それで勇気を出してオーディションに応募して、2018年3月に加入しました。……もう4年以上も前ですね。
自分を取り繕うよりも、自然体な姿を見せる方が合ってる
推:これまでを振り返って、ターニングポイントはいつでしょう?
2年前に開催した「天晴れ!原宿」としてのラストライブが、自分の中で気持ちが大きく変わった出来事でした。というのも、初期メンバー(成実みく)が卒業する大事なステージでもあったんですよ。今までは先輩たちについて行く感じだったけど、先輩が(朝比奈)れいちゃんだけになってしまうので、今後は自分がこのグループを引っ張っていくんだと、ラストライブのステージ上で思ったんです。それ以来、グループ内での動きも変わった気がします。
推:グループ内の動き?
それ以前は「どうしたら、自分が注目されるか?」とグイグイ前へ行くタイプだったけど、今は良い意味で引き際を覚えました。どこで自分が行くのか、どこは他のメンバーに任せた方がいいのか、そうやって頭で考えて行動できるようになりましたね。
推:今、”七瀬れあ”はどんなアイドルだと思います?
元気で超ぶりぶりしたアイドルが好きだったので、自分もそういう子になりたかったんですよ。「よろしくおねがいしまぁ〜す♡!」みたいな、語尾にハートとびっくりマークがついちゃう、フレッシュなアイドルになりたかった。最年少だったし、それが自分に合ってると勘違いしたんです。……でも、実際はこういう性格なんですよ。
推:ハキハキ話すし、性格もサバサバしてそうですよね。
基本的に冷静なことが多くて。例えばドッキリを仕掛けられた時に「キャ〜! なんですかぁ♡」って反応をしたいんですけど、実際は「あ……はい」みたいな(笑)。
推:普通に処理しちゃう(笑)。
そういう性格なので、無理に取り繕って嘘の姿をファンの皆さんに見せるよりは、普通にこのまま喋った方がいいんだなって、4年間のアイドル活動で学びました。
推:路線変更をしたわけですね。
そうですね。MCを担当していたメンバーが卒業することになって、代わりにMCの穴を埋めるように任されたんです。任されたということは、超ぶりぶりキャラではいられないぞ!とその時に思って。アイドルがこんなことを言うのもアレですけど……思いっきり路線変更しましたね(笑)。昔、応援してくださっていたファンの方に「久しぶりに会いに来たけど、すごい変わっていてビックリした」と言われたこともあります。
実は、MCをやるのが辛くて嫌だった
推:MCを任された時の心境はどうだったんですか。
実は、やりたくなかったんですよ。自分のなりたいアイドル像と求められていることが違ったから、「仕事だから、やりたくないこともしなくちゃいけないか」と思いました。やっぱり1人で仕切るのは負担が大きいので、それを自分がやっていかなきゃいけないのかって考えたら、辛いし嫌だなって。
推:それはスタッフさんにも伝えました?
「嫌ですけど、とりあえず期間限定でやります」と言いました。だからファンの方にも「期間限定なんですけど」と言い続けていて。ぶっちゃけ、他の子もMCを任されたらできると思うんです。例えば、(橋本)あみちゃんはしっかりしてるから、普通にトークを回せると思うんですけど、それよりかは私に話を振られて可愛いことを言った方が映える。要は、MCって周りの魅力を引き出す立ち位置なんです。結局、自分が一番MCに合ってるなと思いました。
推:俯瞰して自分の役割を見れるようになったんですね。
あと、新規の方に向けて公演をする機会があったんですけど、その時も嫌々MCをやっていたんです。そしたら、れいちゃんが「七瀬れあちゃんのMCが良かった」というツイートを見たらしくて。それを私に伝えてくれたんです。「れあは嫌かもしれないけど、こういう風にファンの人は思っているんだよ。だから、やりたいとかやりたくないじゃなくて。できるかできないか、なんだよ。れあはできるから、MCを任されてるの。何かあったら私がなんとかする。だから、失敗を恐れるんじゃなくて、安心してMCをして」って。多分、本人は私を勇気づけるつもりで言ったわけじゃないと思うんです。だけどずっと尊敬していて、大事なメンバーに背中を押してもらえたは大きかった。今も、その言葉を糧にMCをやっています。
一言で言えば宝物
推:「私はこのグループに入るべきなんだ」と思ってオーディションに応募した頃の七瀬さんが、今の自分を見たらどう思うんでしょう?
きっと、全く意味が分からないですよね!(笑)。「その立ち位置なの!?」と驚くと思います。端っこではしゃいでるタイプだと思ったら、割と軸らへんで喋ってる人だから「なんで、そうなった!?」と不思議に思うんじゃないかなって。
推:描いていたシナリオが途中で変わりましたからね。
そうですね! 人生は何があるか分からないなって思います。
推:七瀬さんにとって、Appare!はどういう存在ですか。
一言で言うと宝物ですかね。家族でもないし、友達でもない。友達だったら3人で遊んでいる時に「じゃあ誰か呼んでくるね」となったら、テキトーに1人を連れてきて「今日から友達!」ってなれるじゃないですか。それとは全然違った感じで、誰かがすんなり出たり入ったりできる集団ではない。
推:輪の中に入るには覚悟もいるし、相当な理由もいるし。
簡単には入ってこれないし、簡単には壊せないし、守っていくべきもの。それってつまり宝物じゃないですか。
推:そうですね。
あとは私が先頭に立つわけじゃなくても、自分がしっかりと大きく構えて、どんなボールでもキャッチできるようにしたいなって思います。
日比谷のワンマンは、伝説に残るようなステージにしたい
推:池袋サンシャインシティ噴水広場でリリースイベントをしている時に(4月3日)、野音でワンマンライブを行うことが発表されました。あの時も七瀬さんは興奮しつつ、事態を整理して。まさにMCの立場を全うしていましたね。
あの時はビックリしましたね! だけど、嬉しさと同時にモニターを見て話さなきゃいけないから「私は落ち着かなきゃ!」と思って。驚いた気持ちは隠さないけど、やっぱり立ち位置的なこともあるので、なるべく取り乱さないように冷静に振る舞いました。
推:そもそもサプライズですしね。
そう! ここの人たち(所属事務所スタッフを指差し)はサプライズが好きなんですよ(笑)。
推:ハハハ。これから本番に向けて、課題はありますか。
パッションは十分足りていると思っています。だけどトークも歌もダンスも全然まだまだですし、足りていないところはたくさんあるので、それをどう補っていくかが課題ですね。
推:当日はどんなステージにしたいですか。
伝説に残るようなステージにしたい。 “伝説の始まり”のようなライブにしたいと思います。「この人たちめっちゃいいライブしたじゃん! もう満足だわ」と思わせるよりは、「マジか! もっと観たい」と感動させられるようなステージにしたいです。
推:七瀬さんの中で、野音に立つことにどんな意味があります?〇
堂々と野音のステージに立って、後悔のないライブをやり遂げたとしたら、それが自信につながると思います。だからこそ、始まりのステージなんですよね。
れいちゃんの一言で空気が変わった
推:朝比奈さんの言葉でMCを頑張ろうと思った、という話をされていましたけど、他にも支えになっている言葉ってありますか?
え! 他の人は何て答えました?
推:この質問は七瀬さんにしか聞いてないです(笑)。
うわー、なるほど。うーん……これは言っていいのかな?
推:何か躊躇してますね。
とあるシングルをリリースする時、みんなで楽屋にいたんですけど「1回、本気でやってみよ」と、れいちゃんがポロッと言って。その瞬間に空気が変わったんですよ。自分の中でも、その一言で心が入れ替わって。
推:どういうことですか。
言ってしまえば、ここ数年間は同じことの繰り返しだったんですよ。ワンマンライブ、リリースイベント、ツアー、リリースイベントをやったら12月と1月の間に休みがあって、またワンマンライブをやって……。そういう繰り返しの中で、自分も変に慣れてきてしまって。加入して1年目の緊張感もないし「今日もお客さんを楽しませよう」くらいの気持ちになってしまっていたんです。だからこそ、れいちゃんの一言でハッとしました。せっかくこういう仕事をしてるんだから、本気にならなくてどうするんだろうって。
推:目が覚めたと。
そうなんです。だから「この仕事はやりたくないな」とか「体力的に休みたいな」と思った時には、自分の中で「1回、本気でやってみよう」という言葉を思い出すようにしていて。1回1回のライブも、より本気でやるようになりましたね。
推:ただただ、いい話じゃないですか! なんで言うのを躊躇したんですか。
まだ、本人に「あの時、ありがとね。れいちゃんの言葉を胸に刻んでいるよ」と言えてないんですよ。あまり伝えられるタイプじゃないので。だから言っていいのか迷っちゃいました。
推:最後に聞かせてください。Appare!はどんなグループですか。
がむしゃらなグループだと思います。ライブも常に全力で、手を抜いたりしないし、お客さん一人ひとりに届けようと全員が前のめりにステージで歌っています。最近はバラエティ番組も出させていただくようになって、そこでも全力でトライをして頑張って取り組む。そうすることで良い反応を頂けますし、“常に本気でやれば良いことが待っている”と信じて頑張ってる7人ですね。
テキスト:真貝聡
撮影:ケン木村