5月22日、「重大発表」として2024年11月でのグループ解散を表明した真っ白なキャンバス。全国ツアーもこれがラストとなるが、その千秋楽となるEX THEATER ROPPONGIでの東京公演。メンバーもファンも、特別な思いを持ってこのワンマンに臨んでいたであろう。
平日かつ大雨という状況にも関わらず、開場の1時間前にはすでに待ちきれないファンたちが、入り口前に集まり出していた。
そんな、真っ白なキャンバス全国ツアー2024「私とわたし」のライブレポートを撮り下ろし写真と共にお届けする。
テキスト:川西わたる
撮影:矢沢隆則、ケン木村
真っ白なキャンバス全国ツアー2024「私とわたし」
白キャンの解散を惜しむかのように、あいにくの雨模様となった東京地方。この日を待ちわびたファンでごった返したEX THEATER ROPPONGIは音響、照明、空間とも、都内屈指のライブスペースだ。スクリーンに開演を予告するカウントダウンが60秒からスタート。
『SHOUT』のSEに乗せてメンバー紹介映像が流れると、そのまま1曲目から代表曲『SHOUT』に突入。大きく沸くフロアを目の当たりにして、小野寺 梓の目には涙が浮かぶが、グッと堪えて「ついにきましたツアーファイナル。みんな、まだまだここからいけるよね~!」と『闘う門には幸来たる』の曲振り。サビではお馴染みの「飛ぶよ!」の煽りで全員が高くジャンプし、一体感がブーストされる! スモークが立ちのぼる演出の中、ライブ人気曲『ダンスインザライン』へ。覚えやすい特徴的な振り付けは、ファンの完全コピーで見事に一体化する。
『メンションガール』では曲名にちなみ、間奏でお客さんに“#白キャンに夢中”で即興投稿を募集してスクリーンに投影、それをステージで読み上げるという、まさにライブならではの臨場感あふれるコンテンツも盛り込んだ。ライブ感という意味では、次の『ポイポイパッ』でも、交互に花道へメンバーが飛び出し、フロアを縦横無尽に歩いてファンへご挨拶。さらにメンバーが手に持ったカメラで、リアルタイムの映像もスクリーンに映し出された。
ロングバージョンのイントロで、ひと言ずつ今日の思いを述べたのが『ダウター』。麦田ひかるのソロダンスパートが映える大人っぽいナンバーで、妖艶な側面を垣間見せた。
一転して、西野千秋・鈴木えまが「ブチ上げていくぞ~!」と煽るハイテンポアッパーチューン『Whatever happens,happens.』。重低音とレーザービームがフロアを支配する中、間髪入れずつないだイントロに鳥肌が立つ『オーバーセンシティブ』。強烈なスカビートと傷つきやすい時代に生きる辛さを歌詞に乗せ、“楽曲派”からも支持の高いナンバーだ。
このブロックのエンディングを飾るのが、三浦菜々子のエモーショナルな歌い出しで始まる『わたしとばけもの』。青春時代ならではの葛藤をテーマにした、切ない1曲で締めた。
なんとここまでノンストップで9曲を披露したところで、ムービータイム。7人のメンバーが個々にお客さんのリアクションを求める内容で、コール&レスポンスや浜辺ゆりなのサイリウムを使ったウェーブなど、遊び心いっぱいの内容。
紙飛行機が宙を舞う
このVTRが終わると、ステージは暗転。アカペラで三浦と小野寺が導入を歌う『全身全霊』のスペシャルバージョン。白色ベースでプリーツや襟にブルーの切り返しが入った新衣装のワンピースに着替えてメンバーが登場。背中には編み上げのアクセント、右腕やネクタイにはメンバーカラーをあつらえて、お揃いの白ニーハイというかなり凝った新衣装だ。
三浦のロングトーンが響き渡る『世界犯』、伸びやかなメロディーが爽快な『空色パズルピース』と聴かせる曲をここで持ってくる。
ライブ定番曲『HAPPY HAPPY TOMORROW』では、おのずとフロアの熱量が上昇。間奏では、「お客さんが折った紙飛行機を天に向かって飛ばす」という事前に仕込んでおいた企画を実施。表題のように、「紙飛行機がハッピーな明日へ向け、夢をのせて舞い上がる」世界観を映し出した。
ここまでライブも70分を経過したところで、ようやく初のMCタイム。メンバー紹介から、5カ所を巡ってきた全国ツアーの思い出話に。美味しいものをいっぱい食べたこと、各地で書いてもらった寄せ書きへの感謝を述べる。
新衣装については「この夏衣装で、みんなと思い出いっぱい作りたいです」「最後の夏になりますが、白キャンと夏始める準備できてますか? 新曲聴いてください」と小野寺の振りで初披露されたのは、白キャンっぽさ満開の夏曲『Summer Echoes』。早速、揃ったコールで返すオーディエンスの対応力にも脱帽だ。ラスサビでは、手を左右に振るアクションが印象的。
さらに夏曲つながりで『いま踏み出せ夏』。ここでは、カゴに入ったカラーボールをフロアへ投げ入れるパフォーマンスがあり、思わぬ強肩ぶりを見せるメンバーも。ファンも肩を組んで左右に大きく揺れるエンディングは感動的なシーンで、これから始まる白キャンとの最後の夏を踏み出す準備が整った!
ラストスパートにふさわしい『アイデンティティ』ではエモさ全開。ハンドクラップからの感動的な落ちサビで締めくくった。
『キャンディダフト』の間奏では、小野寺が「このツアー中に解散発表をさせてもらいましたが、私たちのことをずっと覚えていてください」と熱いメッセージ。「来年も再来年も一緒に過ごせたら~」という歌詞が、余計に悲しく突き刺さる。
三浦から「次が最後の曲になります。私たちはこれまで、たくさんの季節をみんなと一緒に駆け抜けてきました。最後の夏を、そして11月の最後のライブを、最後の瞬間まで、最高の景色、同じ夢を見ていきましょう!」と語り、『PART-TIME-DREAMER』をパフォーマンス。
静かに下手へとメンバーが去っていくと、暗転したフロアにアンコールの声が響く。鳴り止まぬリクエストに応え、新衣装にメンバーTシャツを羽織った姿で再登場した7人。ドラマチックな展開とストーリー性のある振り付けにクギ付けとなる『Heroine hour』。さらに『自由帳』と連続で披露。
橋本美桜「アンコールありがとうございます。あっという間にラストだよね、寂しい。今回のツアータイトル『私とわたし』には“過去と未来”という意味が込められています。残りのライブも、全力でみなさんへパフォーマンスを届けたいです」とこのツアーの意味、残りの4ヶ月ファンに伝えた。
ラスト公演は幕張メッセ
ここで大切なお知らせとして、11月4日のラスト公演「明日も変わらない1日を」が幕張メッセイベントホールにて開催されることが発表された。
小野寺「幕張メッセは私たちがずっと目標としてきたステージ。あと4カ月しかないけど、みんなとまだまだ思い出作りたいです。最後までみんなの帰る場所であり続けたい。では、本当に最後の曲になります!」と、みんなの背中を押して前向きに進んでいける青春ソング『桜色カメラロール』で感動のフィナーレとなった。
「11月4日、最後の日まで真っ白なキャンバスをお願いします!」と小野寺の言葉でツアーファイナルの幕が閉じた。
終演後は、この日のために作られたセットリストとメッセージ入りのパンフレットが配布されたのも、ファンにとって忘れられぬメモリーとなりそうだ。
セットリスト
- SHOUT
- 闘う角には幸来たる
- ダンスインザライン
- メンションガール
- ポイポイパッ
- ダウター
- Whatever happens,happens.
- オーベーセンシティブ
- わたしとばけもの
- 全身全霊
- 世界犯
- .空色パズルピース
- HAPPY HAPPY TOMORROW
- Summer Echoes
- いま踏み出せ夏
- アイデンティティ
- キャンディダフト
- PART-TIME-DREAMER
- Heroine hour
- 自由帳
- 桜色カメラロール
――アンコール――
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