青野紗穂インタビュー「人生でも少し思い出して見つけられるような作品になっています」

現在、池袋にて公演中の舞台『あの鐘の音と共に』にて主演を務める青野紗穂にインタビュー。
『あの鐘の音と共に』の見どころから、いままでの活動で思い出に残っていること、趣味のことまで、幅広く語ってもらった。

撮影:ケン木村

「表現者としてライトを浴びて衣装を着て」というお仕事をして良かった

推: こんにちは。まずは読者の皆さんに向けて自己紹介をお願いします。
青野紗穂: 青野紗穂と申します。天秤座のO型です。
5歳からダンスを始めて、9歳でモデルデビューをし、あれよあれよとミュージカル女優になって、今年で10周年を迎えました。
たくさんの舞台などのお仕事をさせていただいております。まだまだ頑張って成長していきたいなと思っている所存でございますので、どうぞお見知りおきを。

青野紗穂

推: ありがとうございます。趣味とか特技はありますか?
青野紗穂: 最近は、夜にお散歩するのにハマっています。
夏だから日中は暑いじゃないですか。
歩くのがすごく好きなんですけど、今年は特に暑すぎて全然歩けなくて。夜だと少し涼しくなるので、2~3時間散歩しています。
お母さんと毎日電話するのが日課なので、電話しながら「今日はこんなことがあった、あんなことがあった」って話したり、好きな曲を聞きながらとか、台本を持って覚えながらお散歩しています。

推: お散歩は公園とか川沿いとか自然がある所か、都会の繁華街など、どんなところを歩くのですか?
青野紗穂: 今日は右に行ってみよう、今日は左に行ってみようみたいの、何か目的地があるわけではなくて。今日は家を出てまっすぐ行ける所まで行ってみて、行き止まりが来たら左に曲がってみようみたいな感じで歩いていくので、たまに「ココはどこだ?」っていう時があります(笑)
だからGoogleマップで帰るっていうのは結構あります。

推: 近いはずなのに、帰り道が分からないとか。
青野紗穂: 全然知らない場所みたいになることは結構あります。でもそれがすごい楽しくて、最近の趣味ですね。

青野紗穂

推: 今は舞台女優などされいますが、ネットで検索すると職務経歴欄が”歌手”なっていますが、職業的にはどのジャンルに今自分は属していたいと思いますか?
青野紗穂: アーティストですね。歌手限定のアーティストっていうよりは、表現者として色んな手法を使うという意味でのアーティストに属しているのかなと思っております。

推: 実際にCDを出されたりとか舞台の上に立ったりしてみて、「私この道に進んで良かったな」と思ったことはありますか?
青野紗穂: 自分が表現することによって人様の人生を変えることがあるとは知らなかったです。「明日を生きる元気になった」とか、「新しい扉が開いたかもしれない」とか、「日々私が頑張ってるから自分も頑張れる」とかっていうお言葉をいただくようになってから、私は「表現者としてライトを浴びて衣装を着て」というお仕事をして良かったと思うようになりました。

推: 見てくださった人の何かを動かしたっていう事が嬉しかったのですか?
青野紗穂: そうですね。すごく嬉しいです!

 

思い出に残っているお仕事

推: 今まで様々な活動をしている中、特に思い出に残っているお仕事はありますか?
青野紗穂: 今までで一番は、『人魚姫』という初めて立った音楽劇です。
それが私のミュージカルデビューであり、初主演でありっていう舞台だったんですけど、本当になにも分からなかったんです。お芝居もだし、台本を読むという力もなくて。でも、周りにはすごく素敵な先輩方がいて、おんぶに抱っこで迷惑をたくさんかけたんですけど、ちっちゃい子が真ん中になるっていうのを納得して手を差し伸べてくださったりしました。

昔はお仕事柄の関係とか先輩とには冷たさを感じた事もあったのですけど、その時の先輩方は本当に何をしても怒らずに手取り足取り教えてくださいました。本当になにも分かんない赤ちゃんを見てるようだったと思うんですけど、そんな私にすごくずっと優しくしてくださいました。演出家の方もそうですし、スタッフさん、クリエイター陣、キャストの先輩方がいたから、「ミュージカルって楽しいんだな」と思えたし、ミュージカルを続けていきたいっていう気持ちになれました。

推: 周りの人にもすごく恵まれていたのですね。
青野紗穂: めちゃくちゃ恵まれましたね。

推: いきなり心折られたら辛いですもんね。
青野紗穂: そうなんですよ。本当に皆さん優しくて、今の私だったらそんなことできるのかな?とちょっと考える時もあります。

青野紗穂

推: 取材させていただくにあたってプロフィールを拝見させていただいたのですけど、『ロード・エルメロイⅡ世』や『ファイナルファンタジー』などアニメやゲームが原作の作品にも出演されているじゃないですか。
そういう作品に出演する前からアニメとかゲームには興味がありましたか?

青野紗穂: アニメは元々すごく好きで、ゲームは姉がすごくゲーマーだったんですよ。だからドラクエとかFFとか姉がずっと家のテレビを占領してやってたので、どういう話なのかとか、どんなことをするくらいは知ってはいました。
でも、私がすごく弱いので「絶対ゲームオーバーになる!」って一切貸してくれなかったんですけど(笑)
アニメは昔からテレビでアニメが流れてたら絶対見るし、サブスクというものを知ってからはほとんどアニメしか見てないです!

推: 他にも、大きな作品では『ヘアスプレー』にも出演されていたと思いますが、オーディションで役を勝ち取られたのですか?
青野紗穂: そうですね。ヘアスプレーはオーディションでした。ほぼ全キャストオーディションだったと思います。

青野紗穂

 

『あの鐘の音と共に』にてエレノア役で主演

推: オーディションから勝ち取ったのはすごいですね。そして、今度10月4日から出演されるのミュージカル『あの鐘の音と共に』にはどういう作品なのですか?
青野紗穂: 舞台がサントクレアという小さな町なのですけど、そこに生まれたエレノアちゃんが若い時強盗にお母さんを殺されてしまうとこから、お話がスタートするんです。
そんなエレノアちゃんが探し求めていたものが、愛なのか、希望なのか、明日の道なのか、どういう奇跡が起こってどういう人と出会ってどういう明日を迎えるのかというお話になっています。

今回は、エレノアが主役で、エレノアの物語ではあるんですけど、サントクレア市民全員に人生があって物語があるというような作られ方をしているので、エレノア以外の他の方々に目を向けても面白く見える作品になってます。

青野紗穂

推: その中で演じられるエレノアというのは、どういう役柄なのでしょうか?
青野紗穂: すごく天真爛漫で素直で、町の人たちからは太陽みたいな存在って思われているような、二十歳の女の子なんです。でもやはり寂しい思いをしていたりとか、亡くなっているのは分かっているけどずっと母を追い求めていたりとか。どこかでぽっかり空いた穴を必死で埋めようとしていたり見せないようにしているという、頑張って大人になろうとしているような子なんです。素直で不器用でそういう時あったよねって思えるような可愛らしい女の子です。

推: 自分とエレノアの似ているところはありますか?
青野紗穂: あんまりなくて……。彼女は感情に素直な女の子なので、起伏がすごいジェットコースターなんです。見ていて面白くて楽しい子なんですけど、私はそんなにアップダウンが激しいわけではないのであんまり共通点がないのかもしれないと思ってはいたんです。
けど、エレノアちゃんは「自分が不幸だったとしても、みんなが幸せならそれでいい」っていう女の子で、ちょっと自己犠牲的な考えを持っています。私もたまにそう思うことがあるので唯一似てるのはそこなのかなあと思ったりはします。

推: 「ここはエレノアちゃんにはなれないな」という所はありますか?
青野紗穂: そうですね。どのシーンでも、どんな状況でもすごく素直に感情を吐き出す女の子なんです。私はそんなに素直な感情の表現の仕方っていうのは普段あまりしないので、そこがエレノアちゃんの軸となっている部分だからエレノアちゃんにはなれないなと思うところですかね。

推: 役作りで苦労したところはありましたか?
青野紗穂: あります。「人の言葉をそのまま受け取らないといけない」っていうのが大変でした。
「言われた言葉をダイレクトに、一切フィルターなしで、壁なしで、無防備に受け取る」のが結構大変でしんどいです。良い言葉も悪い言葉も全部豪速球で受け取るので、お稽古中とかも心が疲れる時はあります。まっすぐ受け取ることによって感情がすごく動くので。
大人になってくると、いろんな壁やフィルターがあるじゃないですか。それを外して全部受け取るって結構大変なんだなって思いましたし、そこが一番苦戦しましたね。

青野紗穂

推: 演技中に他の演者さんとの掛け合いの中に投げられた言葉で、嬉しい言葉も辛い言葉もあるわけじゃないですか。それを正面で受け止めると役の上とはいえ役者さんへの感情とかっていうのも変わったりしますか?
青野紗穂: 皆さんいい人なので、どんだけ嫌な言葉を言われても役として受け取って役として言ってらっしゃるので、別に青野自体は傷つかないし、その方のことも「なんだコイツ」なんて思ったりはないです。けど、やっぱり嬉しい言葉を役柄的にもいただくことが多いので、「輝きに満ちていた」とか、「あなたがいたから」とか、そういう言葉をかけてくださる時は、エレノアの中にいる青野も「ふふっ♪」って喜んでるというか、嬉しがっている自分を感じる時はあります。

推: 共演者の方で仲良くなった方とかっていらっしゃいますか?
青野紗穂: そうですね。今回カンパニーで3チームあるのですけど、その中でメインキャストでシングルが3人います。そのうちのベラ役の宮下舞花さんは稽古場でお席も隣ということもあるし、ダブルで結構絡む役でもあるのでたくさんコミュニケーションを取らせていただいていてます。ご飯も一緒に行ったりして、すごく仲良くしてくださっている方です。

推: 宮下さんとご飯に行くのは稽古後に行かれたりするのですか? それとももうプライベートで行くぐらい仲良くなりましたか?
青野紗穂: 稽古後が多いです。稽古期間中は、ほとんどオフがない感じだったので。
早く終わった日は「とりあえず飲みに行こう!」「お話したいことがいっぱい!」みたいな感じで、稽古の話もそうですし普段の話とかも含めて、コミュニケーションは一番取ってるんじゃないかなとは思います。

『あの鐘の音と共に』注目のポイント

推: 共演者の中でこの人すごいなとか、今回のミュージカルで絶対注目した方がいいよっていう方はいらっしゃいますか?
青野紗穂: ジェーム役の萬谷さんは役柄としてとても面白いと思います。あまり深くは言えないんですけど。
ジェームズは次期市長候補の方なんです。本当にきらびやかというか、期待ができる本当に当選して欲しいと思う次期市長ではあるんです。けど、その裏に隠された顔っていうものを萬谷さんは忠実にそしてコミカルに表現されているので、彼側の視点から見ても面白いのかもしれないですね。

推: 色んな方がいらっしゃる中で主演を演じるプレッシャーはありますか?
青野紗穂: プレッシャーはないですね。最初お話いただいた時は「大丈夫かな?できるかな?」とプレッシャーがあったのですけど、お稽古場に入ってからはプレッシャーは一切感じてなくて、ただただエレノアと向き合うことによって周りの方も変わっていくだろうし、素敵な時間を作れたらなっていうのことだけを注視してたので、あまりプレッシャーは感じなかったですね。

推: 今回エレノアを演じてる中で、絶対見て欲しいポイントはありますか?
青野紗穂: 今回は一幕と二幕でエレノアの印象がガラッと変わるんですね。なので一幕のエレノアがすごく楽しくしている時、みんなと楽しんでいる時、人との友情を感じている時を見ていただきたいです。そうすることによって二幕がとても面白くなるのではないかなと思っております。

推: 前振りがすごく大切というか、その一幕と二幕での変わり方っていうところが注目ポイントですね。
青野紗穂: はい。

推: 最後に今回の舞台にかける意気込みを教えてください。
青野紗穂: 今回の『あの鐘の音と共に』はサントクレアの町のお話なで、サントクレアに観光に行くような感覚で足を運んでいただければなと思います。
来てくださった時に、誰を見て誰の視点で楽しむとかは本当に自由なので、エレノアじゃなくてもいいですし、エレノアでもいいですし、自分が側から見ているでもいいですし、どんな楽しみ方でもその世界に生きて一緒に参加できる作品となっております。

見終わった後に「明日はどうなっているのだろうか?」「自分は一歩踏み出しているのか?」「また踏み出したことがあるのか?」「外の空気ってこんな匂いだったっけな?」とか、その年で初めての雪を触ったかのように、どこか冷たいけどどこか温かいっていうものを自分の人生でも見つけていただきたいです。
これからの人生でも少し思い出して見つけられるような作品になっているので、ぜひ楽しみにしてお越しいただければなと思っております。

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