【カメラ予算2万円でレンタル】ライブで”ワンランク上”の写真を撮る方法を、本職カメラマンが解説

Appare!

アイドルライブで推しの写真を可愛く撮りたい! でも、いきなり何十万円もするカメラを揃えるお金は無い。
今使っているカメラから、変えようと思っているけど、何を買えば良いか悩んでいる。

そんな人に、「予算2万円かつ、一般のお客さんと同じ環境で、良いライブ写真を撮って欲しい」 というお題で、カメラマン 矢沢隆則氏へ依頼した。

良い写真を撮る近道

はじめに今回の企画は「プロに予算2万円でカメラを選んで撮って欲しい」という制限を設けている。

その制限が無い状態で、1番簡単に良い写真を撮る方法は、フラグシップ機と言われる各メーカーが出している最高位の機種と、大三元に代表されるような最も精度の高いレンズを組み合わせで撮る事だ。
本体とレンズの合計で100万円からスタートする事になるであろう。

【参考価格】
●Nikon

画像出典:Nikon公式webページより
・Z9(本体):839,000円
 Amazon / https://amzn.to/3PaI4jC
・NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S(レンズ):290,000円
 Amazon / https://amzn.to/3IEsMkx

● Canon

画像出典:Canon公式webページより
・EOS R3(本体):748,000円
 ヨドバシ.com / https://www.yodobashi.com/product/100000001006527879/
・RF70-200mm F2.8 L IS USM(レンズ):379,500円
 ヨドバシ.com / https://www.yodobashi.com/product/100000001005207327/

最高の組み合わせで撮った写真は、ここまで上手に撮れるか!?と驚くほど、良い写りをする事は保証する。
しかも、簡単に撮る事ができる。一度、フラグシップ機の性能を味わったら後戻りする事はできなくなってしまうだろう。

 

2万円でのカメラ選び

今回の予算2万円で、良いカメラを購入する事は当然できない。そのため、2万円でカメラをレンタルする事になる。

今回利用したのは、新宿にある「マップレンタル」である。プロも利用するちゃんとした、カメラ専用のレンタルショップである。
webで会員登録すると郵送対応も可能なので、全国どこの人も利用する事ができる。

ただし、会員登録には身分証の提示や簡単な審査があり、直前に登録してもレンタルができないので、前もって登録しておく事をお勧めする。

【マップレンタル】
https://www.maprental.com/
〒151-0053
東京都渋谷区代々木2-5-5 新宿農協会館ビル2F

選んだ機材はニコン

今回、矢沢隆則氏への依頼内容は、2万円で機材選定からお願いした。
結果、選んだ機材は下記のセットであった。

Nikon Z6Ⅱ
画像出典:Nikon公式webページより
●Nikon Z6Ⅱ (12,000 円/1日)
www.maprental.com/camera/

画像出典:Nikon公式webページより
●Nikon NIKKOR Z 100-400mm F4.5-5.6 VR S (4,500 円/1日)
www.maprental.com/lens/

画像出典:Nikon公式webページより
●Nikon NIKKOR Z 24-120mm F4 S (3,000 円/1日)
www.maprental.com/lens/

 

Nikon Z6Ⅱ ライブ撮影の設定

カメラを入手して、そのままライブ撮影に行く事は推奨しない。
ライブ撮影をするにあたり、事前に設定をしておく事で、現地で慌てて作業をしてミスする可能性を減らす事ができるからである。

事前の準備すべき項目を解説する。

iメニュー設定

まずは、iメニューから設定する。
カメラにレンズを取り付け電源を入れた後に、背面の「i」ボタンより設定する事ができる。

・ピクチャーコントロール:スタンダード SD (標準的な設定。ライブ撮影ではビビットが生きる時もある)
・画質モード:RAW+F★ (最高画質での保存)
・フラッシュモード:発光禁止 (ストロボを使用しないので設定する必要はない)
・レリーズモード:高速撮影 H (5.5コマ/秒)
・AFエリアモード:ワイドエリアAF L-人物
・フォーカスモード:コンティニュアスAF AF-C(フォーカスしている箇所が動くと追従してピントを合わせてくれる)
・測光モード:中央部重点測光
・ホワイトバランス:色温度設定 5000K(仮設定で、現場の状況に合わせて変更する)

メニュー(MENU)設定

副スロットの設定:バックアップ記録(使用している記録メディアCFexpress(XQD)とSDカードに同じものを保存。 何かあった時の保険になる)
アクティブDライティング:強め (ライブ撮影ではこの設定が映える事が多い)
長秒時ノイズ軽減:OFF
高感度ノイズ軽減:標準
フリッカー低減撮影:する

カスタムボタンの機能
※ここの設定は個人の好みのよるので、設定は自由に行って欲しい
Fn2:フォーカスエリアモード
サブセレクター中央:フォーカスポイント中央セット(ボタンを押し込むことで、移動させたフォーカスポイントが中央に戻る)

その他
視度調整:ファインダーを視力に合わせて見やすく調整できる機能
ファンダー右の+-のダイヤルを引いたのち回してピントを合わせる事ができる。

仮の撮影設定

シャッタースピード:1/400
F値:5.6~8
ISO:1600~3200(必要によっては6400以上にあげる場合もある)

撮影状況によってISOの設定は変更していく事になる。

シャッタースピードはステージで動く被写体を撮るため、ブレないように1/400のままにしたい。
動きがなだらかな被写体であれば、もっと遅い設定にして問題ないであろう。

F値は、現場の状況によって変わるが今回は5.6より小さく(解放)はしたくない。
理由は、下記の2点である。
1、Z 100-400のレンズの望遠側の最小F値が5.6であるため、それよりも小さくすると広角と望遠でF値が変わってしまい、明るさなどが変化してしまい、その度にISO感度などを変更する必要があり、手間が増えてしまう。
2、F値を小さくしてしまうと、ピントの合う範囲が狭くなってしまい、激しくステージを動く被写体を撮った際に、ピントが合っていない写真になってしまう確率が上がってしまうためである。

 

実際にライブを撮影した環境

今回の撮影をしたライブは、渋谷にあるduo MUSIC EXCHANGEで開催されたAppare!(Twitter:@official_appare)のワンマンライブ。

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Appare!

撮影は、取材という事で特別な席で優遇して撮影するのではなく、一般のお客さん同じ立場にて行ってもらった。

撮影した場所は、客席前方では他のファンの方に迷惑になってしまうので、客席後方やや右寄りにてスタンバイ。
当然、脚立などは使用していない。
ただ、会場後方は若干高くなっており、前方のファンよりは少しだけ高い場所から撮影ができた。

現場での変更点
【ホワイトバランス】
会場の明かりがオレンジに寄っていたので、ホワイトバランスを3600に変更した。
この点は、その時のライブによって異なるので、状況に合わせて変更して欲しい。

【AF設定】
ワイドエリアAF(L-人物)にしていたが、シングルポイントAFに変更
Z9などのようなフラクシップ機では、瞳AFを使いながらのライブ撮影が可能だが、ダンスなどが激しいAppare!さんのようなユニットの場合は、Z6ⅡではシングルポイントAFを使用することをお勧めする。

実際のライブ中は、上記のようにライティングの明るさや色などがコロコロろ変わっていた。
そのような環境で、どのように撮るとワンランク上の写真が撮れるのか?

実践することが可能なポイントを解説していく。

 

ライブ撮影で上手に撮る5つのポイント

今回のライブ撮影から、ライブを上手に撮る下記の5つのポイントを、実際に撮影した写真を出しながら解説する。
・三分割法を意識
・バランスを意識する
・逆光を取り入れてライブ感を出す
・ダンス(フリ)を考えた構図
・前方にいるファンも作品に

三分割法を意識

三分割法とは、写真を撮った時にバランス良く映える王道の構図のひとつである。
具体的には、下記のように画面を上下左右に三分割にして、その線や交点に被写体を合わせる方法である。
カメラのファインダー内にグリッド表示できる機種も多いので、表示させるとより簡単に撮影できるのおススメだ。

 

【実際に撮影した写真】
三分割法を意識して撮影した写真は下記の写真のようになる。
被写体のと背景の空間のバランスが良く、映えた写真となっている。

工藤のか

分かりやすいように、三分割の補助線を引いてみると、下の写真のようになっている。
被写体の体が縦の右ラインに乗っており、伸ばしている手は上のラインに乗っている。

工藤のか

バランスを意識する

上記の三分割法と使い撮影した際などに、空いた空間に何もないと締まらない写真となる事も多い。
ライブ撮影では、その空間にスポットライトやメンバーなどを入れると、バランスが取れた写真となりやすい。

カメラマン矢沢氏の言葉を借りるならば、「構図のバランスを”重さ”で測る」という事だ。

【実際に撮影した写真】

橋本あみ

橋本あみ

逆光を取り入れてライブ感を出す

通常の撮影では、意図しない限り逆光での撮影をする事は無いはいずだ。
そのため、ライブの会場では意識して逆光を取り入れ撮影する事によって、臨場感を出す事ができる。

【実際に撮影した写真】

藤宮めい

ダンス(フリ)を考えた構図

アイドルライブを撮影する際に、かわいい推しをアップで撮りたいという気持ちは分かる。
しかし、ステージパフォーマンスを考えた構図で撮影する事で、より躍動感が伝わってくる写真になる。

例えば、伸ばした手の先までしっかりと画角に入れたりする事で、パフォーマンスの動きが伝わってくる。

【実際に撮影した写真】
橋本あみ

藍井すず

ただし、上記を踏まえた上で意図的に腕を切る場合もある。

朝比奈れい

前方にいるファンも作品に

ライブ会場で撮影する際、他のファンの人が前にいる事も当然多々ある。
特に今回の撮影は、他のファンに迷惑にならない事に重点を置いていたので、後方からの撮影になった。

「こんな場所では、良い写真なんて撮れない」とあきらめたり、文句を言うのではなく、その状況で撮れる最高の写真を目指す事が大人であり、マナーであり、技術であろう。

例えは、メンバーカラーのペンライトをメンバーと同じ画角に入れたり。いっそ、ペンライト自体にピントを合わせてみたり。
お客さんの後ろ姿を入れて、現場の盛り上がりを伝える写真にしてみたり。 と色々できるはずだ。

【実際に撮影した写真】
七瀬れあ

七瀬れあ

藍井すず


ペンライトにピントを合わせる際は、MFで撮影した

 

Youtubeにて解説

これまでの内容は、矢沢隆則氏のYouTubeにても公開している。
動画で見たい人はぜひチェックして欲しい。

 

矢沢隆則 プロフィール
株式会社ブルーカラー代表取締役。31歳で脱サラし、以降カメラマン、レースクイーン専門家として20年以上活動。
現在は自社でグラビアサイトを運営する傍ら、講談社ベストカーで連載を持ち、モデルプレスで大型ファッションショーの撮影も担当している。
カメラ系のYouTubeでも日々情報を発信している。
Twitter:https://twitter.com/yazawa_takanori
YouTube:https://www.youtube.com/c/yazawatakanori

 

撮影:矢沢隆則

Appare!
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