2025年1月29日、「待ちに待った…」などというチープなフレーズでは言い表せないほど、大きく、強い想いが積もりに積もった、Appare!にとってもファンにとっても歴史的な日本武道館公演の日がやってきた。
大量の撮り下ろしの写真とレポートでじっくりとプレイバックしよう。
テキスト:川西わたる
撮影:矢沢隆則、ケン木村
Appare!やったれ武道館 〜絶対玉ねぎいただきます!〜
思い出すだけでも胸が締め付けられる、2024年8月16日。その前日より台風7号が関東地方に接近し、さまざまなイベントが中止となるなか、お客さん、ファンの安全を考慮し、Appare!も「武道館公演中止」と苦渋の決断をすることとなった。当日集まったメンバーは、会場内を歩きながら、『絶対ここに帰ってくる!』という決心を一層強めた。
そこから「REVENGE!武道館」シリーズの公演を経て、ついにリベンジの日が2025年1月29日に決定。
本来、真夏に行われる予定だったAppare!の武道館ライブだったが、季節は変わって真冬の開催に。リベンジの当日は、あの恨めしい雨ではなく、都内はまさに「大快晴ボンボヤージュ」。
武道館周辺は、公式グッズを身につけた竹の子(※Appare!ファンの総称)でいっぱい。「玉ねぎ」をバックに記念撮影したり、メンバーのパネルと一緒に写ったり。思い思いに、開演の瞬間を待ち構えた!
舞台は広いメインステージが左右に伸び、花道を挟んで四角いセンターステージが広がる。これを取り囲むようにアリーナ席が配置され、ぐるりと一周スタンド席が迫り上がるレイアウト。
玉ねぎをから飛び出しての登場
定刻となり、スクリーンにはメンバー紹介のオープニング映像が流れると、和太鼓と尺八の生演奏から、いつものOvertureがライブスタートの時を告げる!
玉ねぎをかたどったパネルを突き破ってメンバーが現れると、「玉ねぎ、いっただきま〜す!」とシャウトし、オープニングは『絶対猛信デイドリーマー』。これも武道館への夢と決意をテーマにした楽曲で、すっかり最近のライブ鉄板ナンバー。初っぱなからキャノン砲から銀テープが放たれる華やかな演出付きだ。途中、お馴染み藍井すずの決めゼリフ「玉ねぎ食べれる〜!」も「玉ねぎ食べたぞ〜!!」に変更してぶち込んでくる。
続く『破天荒シンデレラ』では火花が噴き上がり、ラスサビでは広大な武道館のフロアいっぱいにペンライトの海が広がった。一転、藤宮めいの萌えゼリフ「Appare!のこと、いっぱい推して〜♡」で始まった『OSHIOSHIO』ではキッズダンサーがメンバーのぼりを携えてサポート。間奏の自己PRセリフパートは武道館スペシャルバージョン。一人一人が挨拶しながら、花道からセンターステージへ飛び出していく。
立て続けにクラップが楽しい『未体験 Be Alright!』、振り真似したくなる『Wai Waiダンスフィーバー』とウォーミングアップには十分すぎる熱量でパフォーマンス。
ここで1回目のMCタイム。
「ついにAppare!が武道館にやってきたぞ!」(藍井)
「ここに立つまで8年半もかかってしまったけど、今まで支えてくれた皆さん、応援してくれた皆さん、本当にありがとうございました!」(朝比奈れい)
今日までのヒストリーをおさらいしつつ、あらためて来場してくれたファンへ感謝を述べた。
Tiktokでバスった曲メドレー
MC明けのブロックでは『Tiktokメドレー』と題して、SNSでバズった『ぱぴぷぺPOP!』や『いいかんじっ!』『なんとかなーれファンファーレ!』『好きだ、まじで!』『特注オートクチュールダンス』と、覚えやすいフリをコピーするアクションが武道館いっぱいに広がっていく。
ドリーミーな曲調に引き込まれていく『一生スマホ触っていたいの♡』を挟んで、懐かしのファーストアルバムから『超絶スーパーLOVE!』、そして今もライブの定番曲である『アイネクライネ幼き恋だね』を投入すると一気にボルテージが上がり、ファンのコールが今日一番のボリュームに達する!
このブロックの締めは、BPM速めな最新曲『コードネーム:O.N.I.O.N』。ヒャダイン曲らしい、独特なメロディーとドラマチック展開が、心地よく耳に残る。
いったんメンバーがステージを去ると、日比谷野音で「武道館を目指す宣言」をした日から今日に至るまでのドキュメンタリー映像が放映され、ファンもそれぞれ自分の中でメモリーをプレイバックしたことだろう。
ギネス記録に認定
フリルを多用した衣装に着替えたメンバーが現れて『シンフォニア』を力強く歌唱、キレのあるダンスを披露。『希望のヒカリ』の曲振りでは、永堀ゆめが「私たちを武道館に連れてきてくれてありがとう!」と感謝を伝える。
春っぽい歌詞とハンドクラップで一体感を生む『ダフネ』、初披露となるアコースティックバージョンの『汽水ガール』は、牧歌的なイメージにアレンジされ、エンディングではステージの階段に7人が並んで腰掛けるという印象的な光景も。このブロック最後は、ピアノとストリングスのトーンが透明感あふれる『青いフレア』だ。
2度目のMCタイムでは
「みんなに歌詞を伝えたいと思って、汽水ガールを初のアコースティックで歌いました」(工藤のか)
「8月の武道館の無観客配信で着用した衣装なんです。初めてみんなの前で着られて嬉しい」(永堀)
さらに、当日の晴れを願って、みんなでてるてる坊主を作る企画も、目標の10,000個を大きく上回る13,999個を達成。なんとギネス公式記録に認定されたというニュースも発表された。
記念撮影が終わり、サプライズで新曲『本日は晴天なり』を初披露。最近のAppare!らしい、コミカルで楽しい早口アッパーチューンに仕上がった良曲で、ファンにも好評で迎え入れられていた。
次の『新世紀ヒットパレード』は、この武道館公演直前にMVが公開されたばかりだが、早くも人気となっている沸き曲で、ラストの「ラララ〜」のシンガロングパートでは、オーディエンスが肩を組み左右に揺れ大きな波となる。
さあ、ここからラストスパートの加速セクション。マストアンセム『キミだけのワンダーランド』のイントロが耳に届けば、おのずとファンのスイッチが入り、熱狂の渦が巻き起こる。
レーザー光線が鮮烈に投影された『アッパライナ』、ファイアーとスモークの噴き上がる『アガレ!』、たたみかけるようなハイスピードチューン『Summer Spit!』で完全にAppare!が日本武道館を支配する。自分たちが普段の主戦場としているライブハウスとまったく変わらない一体感で、ファンもメンバーもすべてを出し切った本編のフィナーレを迎えた。
メジャーデビュー決定!
いつものように「以上Appare!でした」と告げて去っていくと、ファンからのアツいアンコールの口上、そして会場内に巻き起こるアンコールの声援に応えて再登場する7人。
今度のコスチュームは、本来8月に着用する予定だったという、ふわふわ羽根のスカートがプリンセスなイメージ。
アンコール1曲目は、この季節にぴったりの冬曲『ホットラブウインター』。さらに人気曲『パレリラパレリラ』ではカラーボール投げ入れのサービスも。キャノン砲とハンドスローで、なるべく遠くのファンに届くよう、必死な姿のメンバーが可愛い。
ここで挟み込んだ告知タイムも、内容盛りだくさん。
「春の全国5大都市ツアー決定」
「Appareレコーズから最後のアルバムリリース」
そして、ついに「今春ビクターエンターテイメントよりメジャーデビュー決定!」のニュースには、大きなどよめきと祝福の声が上がった。
メンバーから感謝の挨拶
工藤のか
「来てくれてありがとうございました。不安もあったけど、本当にこんなに素敵な景色が見られてよかったです。これまで続けてこられたのは、メンバ―がずっと一緒にいてくれたから…。私の学業も両立が大変だった時、親身に応援してくれて。そしてファンのみんながどんな時も味方でいてくれてよかったです。Appare!を、自分のことのように喜んだり泣いてくれたり。そんな仲間がいることはとても幸せです。これからも、私たちらしく未来に歩んでいきたいです」
藍井すず
「私、いつも涙もろいんですけど泣かなかったんですよ。なぜかって?幸せのほうが大きくて。私Appare!が本当に大好きで、みんなも同じようにAppare!のことを好きでいてくれて。武道館目指すと誓って2年半、いろんなことがあって。うまくいかない時もあって、そして中止になって、諦めたくなる時もあったけど、みんなが温かい言葉をかけてくれて、だから私も下を向いてちゃいけないなと思いました。こんなに最高の景色が見られるのもみんなのおかげです。これからももっと上を目指して、ライブ命でいきますので、この7人をよろしくお願いします!」
永堀ゆめ
「れいちゃん、Appare!を守り続けてくれてありがとう。同期のめいとれあ、いつも隣で支えてくれて、ありがとう。のか、すず、あみ、ポンコツな先輩の私を慕ってくれて、時には背中を押してくれてありがとう。そしてファンの皆さん、みんなのおかげでここにいられます。自分を認めてくれて、アイドルでいさせてくれてありがとう。ここに至るまで、笑顔でいられない日もあったけど、今日見ることのできた景色は大切な宝物になりました」
藤宮めい
「みんながいなければ叶えられない夢だった。みんなが連れてきてくれた武道館でした…。それに対して私は何がお返しできるんだろうと不安になっちゃうこともあったけど、今日みんなが楽しそうな笑顔でいることで、自分も自信を持つことができました。人生で武道館に立つ日が来るなんて思ってもみなかったし、想像もできなかったけど、みんなが見せてくれた景色は一生忘れないです。みんなも今日のことを覚えていて欲しいです。これからもよろしくお願いします」
七瀬れあ
「小学生の頃のプロフィール帳に『将来アイドルになる!』と書いてあったらしく、覚えてないんですけど、運命なのかな。天晴れ!原宿の加入前オーディションで『武道館を満員にする』なんて生意気なことを話してたんですけど、それが叶えられるなんて本当に皆さんのおかげです。貴重な時間やお金を使って私たちに会いにきてくれる皆さんのために、1秒でも長く、皆さんの人生を照らしていけたらいいなと思っています。私たちにとって、皆さんはかけがえのない宝物です!」
橋本あみ
「ライブ中は笑顔を届けようと思って我慢してたけど、メンバーの言葉を聞いてたら涙が抑えられなくなってしまいました…。本当にみんなと武道館に来られたんだなって、感極まってしまって。みんなと幸せな時間を過ごせて、この日のことは絶対に忘れません。アイドルになりたいという夢を、Appare!という素敵なグループで叶えることができて、そして皆さんと一緒に武道館へ来ることができて幸せです。これからも一緒にいてください」
朝比奈れい
「正直、ここに来るまで長かったし、しんどかった…。でも今日はそれ以上に楽しかったし、幸せでした。このグループはインフルエンサーがいるわけでもないし、いろんなメディアに露出がたくさんあるわけでもないけど、8年半頑張って続けてきてよかったなと思いました。私は歌やダンスがすごいわけでもないけど、アイドルだけは絶対に負けないです。心の底からアイドルを信じたいと思って続けてきました。何も興味がない、続かないタイプの私が、本当に大切な居場所を見つけることができました。今までのすべてを届けられたかなと思います。今日は、みんなが連れてきてくれた日本武道館です。でも次は、私たちが横浜アリーナにみんなを連れて行きたいです!」
次なる目標が示されたところで、「本当に最後になります。Appare!について来てくれますか〜?」(藍井)との煽りから、ビートで押しまくる『I YOU WE OUR』。
そしてオーラスは、あの武道館無観客配信でも歌った『大快晴ボンボヤージュ!』だ。あの時いなかったファンが、今日は目の前にいっぱい広がっている…。思いもひとしおのメンバーを送り出すように、フロアは紙吹雪が舞い降りる。
最後は全員で「玉ねぎ、ごちそうさまでした〜」。宣言から2年半に渡る、Appare!武道館への道は、ここに見事完結した。
セットリスト
Appare!やったれ武道館 〜絶対玉ねぎいただきます!〜
- 絶対猛信デイドリーマー
- 破天荒あシンデレラ
- OSHIOSHIO
- 未体験 Be Alright!
- Wai Waiダンスフィーバー
- Tiktokメドレー
- 一生スマホ触っていたいの♡
- 超絶スーパーLOVE!
- アイネクライネ幼き恋だね
- コードネーム:O.N.I.O.N
- シンフォニア
- 希望のヒカリ
- ダフネ
- 汽水ガール(Acoustic ver)
- 青いフレア
- 本日は晴天なり
- 新世紀ヒットパレード
- キミだけのワンダーランド
- アッパライナ
- アガレ!
- Summer Spit!
- ホットラブウインター
- パレリラパレリラ
- I YOU WE OUR
- 大快晴ボンボヤージュ!
――アンコール――
- 1
- 2