楽器演奏者とボーカルが融合したガールズユニット・CiON。実力の高さと唯一無二の音楽性で注目を集め、人気急上昇中だった彼女たち。2024年はメジャーデビューも決定していたが、まさかの事態が勃発し、一時は活動休止を余儀なくされた。
それでも、CiON史上最大規模となる横浜パシフィコでのワンマンライブは実施を決定。今年1月より無事活動を再開し、ワンマンライブまで約1ヶ月という短い期間の中で必死に努力をした。その結果、2月15日(土)横浜パシフィコには各地から多くのファンが来場。広大な客席が大勢の人で埋め尽くされた。
そんな、CiONのワンマンライブ「THIS IS CiON」をレポートをお届けする。
テキスト:渡辺ありさ
撮影:ヨシモリユウナ・高田梓
CiON 「THIS IS CiON」
影ナレはピアノの杏実が担当。ボーカル愛佳との寸劇を挟み、そのままの流れで杏実がひとりステージに現れる。
杏実が『Last Order』を演奏し始めると、ユーフォニアム&バストランペットの聖奈、サックスの佳子もステージに登場。楽器隊によるジャジーなインストゥルメンタルの後、ボーカルの愛佳と栞音がステージに降臨。フリルとファーがふんだんにあしらわれたゴージャスな新衣装に身を包んだ5人に魅了される。
2曲目『等身大ガール』、3曲目『鼓動PARADE』と、冒頭からアップテンポな楽曲が続く。モニターにはメンバーたちの弾けるような笑顔が映し出され、会場中のファンの心を鷲掴みにした。
最初の挨拶では深々と頭を下げ、メンバーひとりひとりが自己紹介とともに訪れたファンたちへ感謝の思いを伝える。栞音は、はじめてライブに来る観客に向けて、CiONについて説明をした上で「このワンマンでみんな虜になっちゃうと思います!」と堂々宣言。会場は大きな拍手と歓声に包まれた。
続く4曲目は、サザンオールスターズのカバー楽曲『エロティカ・セブン』をニューアレンジバージョンで披露。誰もが知る平成初期の名曲を、CiONらしさ全開で妖艶に歌い踊る。そこから、ボーカル二人のセクシーなダンスに目を奪われる『addicition』。杏実の速弾きも、ライブで聴くことにより迫力爆増だ。
想いを伝える曲
6曲目の前に、栞音が「なかなか面と向かって言えない思いを歌にしたので、聴いてもらいたいと思います」とコメントし、始まったのが『となりの愛佳』。愛佳への思いを『となりのトトロ』のメロディに載せて歌ったユニークな楽曲だ。2番では、アンサーソング『となりの栞音』を愛佳が熱唱。ラストは栞音と愛佳がデュエットし、会場を沸かせた。
ゆるい雰囲気から一転、大人の魅力あふれる『月逢夜』、報われない恋心を描いた『あなたのせい』をしっとり歌い上げる。間奏ではジャズのスタンダード・ナンバー”Sing Sing Sing”を挟み、そのままバンドメンバー紹介へ。杏実、聖奈、佳子もそれぞれ美しい音色を響かせ、会場を盛り上げた。
9曲目は、栞音の甘い歌声と愛佳のソウルフルな歌声に心揺さぶられる『曖昧≠Libido』を披露し、ライブはいよいよ後半戦へ突入する。
10曲目は、CiONのライブではお馴染みのカバー曲、SMAP『SHAKE』。軽快なリズムとフルバンドによる華やかな演奏でファンを引き込んだ。曲終わりに佳子の小ボケでささやかな笑いを取りつつ、そのままの流れで『Now or Never』へ。杏実もピアノから離れてショルダーキーボードを装備。5人で美しい群舞を披露し、ライブを大いに盛り上げた。
そのまま息つく暇もなく『MAHORAMA』を熱唱。躍動感あふれるビッグバンド風の楽曲を、力強く妖艶にパフォーマンスした。13曲目はボーカル二人の伸びやかなハイトーンボイスに聴き惚れる『S;ckkkkk』、ハイテンションで激しいライブの定番曲『Noisy』と続けて披露していく。ファンはCiONが奏でる音に身を委ね、久々のワンマンライブを心から楽しんでいる様子だった。
栞音からファンへ伝える気持ち
ラストの曲の前に、栞音がマイクを取り想いを語りだす。
「みんなが望んでいてくれたから、待っていてくれたから、このステージに立つことができました。でも、パシフィコ、見てわかると思うけど、埋められなかったです。悔しい。歌手になりたいと夢見て、5歳のときにマイクを握って、売れることを願ってCiONとして8年間がむしゃらに走り続けてきて、やっと手にしたメジャーデビューでした。でも、自分たちの行動で、メジャーデビューも、パシフィコまでの大事な3ヶ月間も、すべてを失くしてしまいました。すごく情けないし、悔しい思いでした。みんなにたくさん迷惑をかけて本当にごめんなさい。去年、調子がよくなってきて、動員が増えていったり、いろんなところでワンマンライブをさせていただけるようになったり、エイベックスさんからメジャーデビューも決まって『もしかしたら私たち売れちゃうかもね』って、正直、浮足立ってたところもありました。でもそんなわたしたちに、まだ早いよ、調子に乗るなよって、見失っていた大事なものを再認識させてもらう、大事な時間だったなと思っています」
活動休止期間について声を震わせながらファンに気持ちを伝えた。
さらに、「今までやってきたことをこれからも大事にして、浮かれず驕らず、ひとりひとりとちゃんと向き合っていくこと。それが本当に大切だと思いました。その先に私たちの“売れる”があったら嬉しいなって、今はそう思います。パシフィコ横浜、5000人埋めたかったけど、来年くらいにまたリベンジする。だから、待っていてください」と、次のパシフィコ横浜ワンマンに向けた強い想いも語った。
そして、15曲目は杏実のピアノソロから始まる新曲『心の声』を披露。メンバーとファンの気持ちに寄り添った歌詞と、繊細なメロディが胸を打つ。会場には5人の音だけが響き渡り、集ったファンたちを優しく包み込んだ。
アンコールでサプライズ発表【再メジャーデビュー決定!】
メンバーがステージを去り、盛大なアンコールが響く中、モニターに突然Zepp DiverCityワンマンライブと、CiONの再メジャーデビューの告知が映し出される。さらに、メジャーデビュー楽曲『しましょ』のMVティザー映像が公開され、会場は大きな歓声に包まれた。
アンコールでは、メジャーデビュー楽曲『しましょ』を初披露。CiONの魅力が余すところなく詰めこまれたステージングに、会場はこの日一番の盛り上がりを見せた。
改めて「4月16日にエイベックスさんよりメジャーデビューが決定しました!」と告知しされると、ファンたちから「おめでとう!!」と歓喜の声が湧きあがる。
栞音は「あのとき、すべてが終わってしまうと覚悟をしました。そんなときエイベックスさんが『やってしまったことは反省するしかない。でも、一緒にやっていく中で、いいことも悪いこともたくさんある。ここで手を放してしまうのは簡単だけど、CiONの音楽はもっといろんな人に届くはず』と言ってくれました。そんな心強いみなさんとメジャーデビューができることを、本当に嬉しく思います。本気で恩返しができるように頑張ります」と意気込みを述べ「地に足を付けてしっかりと活動していくので、これからも応援してもらえると嬉しいです」と満面の笑みでMCを締めくくった。
アンコールラストはポップで爽やかなCiONの人気曲『サマラブイリュージョン2024』を熱唱。ステージから客席に降り、ファンと触れ合うメンバーたち。客席の声を聞くためにイヤモニを外す瞬間も見られ、メンバーとファンとの絆の強さが感じられた。最後はメンバー同士しっかり手と手を握り合い、マイクを通さない生の声で「ありがとうございました!」と客席に向かって深々と頭を下げた。
再メジャーデビューとZeppワンマンが決定し、華々しいリスタートを切ったCiON。誰にも負けない実力と個性と艶やかさを武器に、2025年の音楽業界に新たな旋風を巻き起こすだろう。満員御礼のパシフィコ横浜で、5人の嬉し涙を見る日が楽しみだ。
セットリスト
- Last Order
- 等身大ガール
- 鼓動PARADE
- エロティカ・セブン
- addicition
- 月逢夜
- あなたのせい
- 曖昧≠Libido
- SHAKE
- Now or Never
- MAHORAMA
- S;ckkkkk
- Noisy
- 心の声
- しましょ
- サマラブイリュージョン2024
――アンコール――