映画『卍 リバース』で体当たり演技に挑戦した、中﨑絵梨奈にインタビュー「女優としてターニングポイントの作品にしたかった」

中﨑絵梨奈

映画『卍 リバース』『痴人の愛 リバース』が、2024年5月24日(金)からシネマート新宿と池袋シネマ・ロサ、5月31日(金)からはシネマート心斎橋にて2作品とも公開される。
『卍 リバース』は同性愛や不倫に溺れる男女の異常で破滅的な情愛を赤裸々に綴った、谷崎文学の傑作といわれる「卍」を、舞台を現代に置き換え、原作の登場人物たちの性別を逆にするなど、大胆にアレンジを加え映画化。

そんな作品にヒロインとして体当たり演技で挑んだ、中﨑絵梨奈にインタビュー。
女優になった理由から、『卍 リバース』への向き合った時の気持ちや、注目のポイントを語ってもらった。

元々は芸能に全然興味なかった

推:こんにちは。読者の皆さんにむけて、簡単な自己紹介をお願いします。

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈です。今は女優をやっています。

推:趣味や特技はありますか?

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
趣味は、本を読んだり、とかカフェ巡りだとかが趣味で、体を動かすのも好きなのでたまにバスケをやったりとかしてます。

推:色々な資格を持っているとも伺いましたが、どの様な資格を持っていらっしゃいますか?

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
高校が商業科だったので、簿記やエクセルなどの事務所職に強い資格を結構取りました。
もう全然覚えてないんですけどね(笑)やってないと忘れちゃいます。

中﨑絵梨奈

推:芸能活動をスタートする最初にChubbinessのオーディションを受けようと思った動機は何でしたか?

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
元々は芸能に全然興味なかったんです。

商業科で勉強してその流れでOLに就職したんですけど、その時の簿記検定などを勉強しながら仕事をしていた時にストレスで半年で16キロぐらい太ったんですよ。それからずっとぽっちゃりでOLをやってたんですけど、2年くらい経って「一生OLやるのはちょっと嫌だな」とか「もっと若いうちにいろんなことをやる方がいいんじゃないか」みたいなことを思って転職先を探しました。

税理士とかアパレルとか本当に何でも良かったんですけど、探してる中でパソコンを見てたら『ぷに子オーディション』っていうものがあって、その時太ってたので「太ってても芸能界いけるんや」と思って、何か目標が欲しかったんですよ。

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
ずっとバスケ、簿記とか就活とか何かに向けていろいろ頑張ってたので、OLなった瞬間何もないなと思って。
その時に「女優だったら諦めない限りずっとやり続けられるじゃん」って思って、やってみようかなって応募したらChubbinessになりました。

推:すごいですね! バリバリの事務をしていたOLからの転身なのですね。

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
そうなんです。やりたいことを応援します!みたいな感じだったので「女優やりたいです!」ってオーディションを受けたんですよ。
そしたら10人組のユニットですってなって活動していました。

中﨑絵梨奈

 

思い出に残ってる役は?

推:アイドル活動から女優の道に行こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
元々女優になりたいって言いながらグループ活動してたので、「グループ自体が有名になったら各々やりたいこととかやれるね〜!」みたいに何かしらの目標を持ってみんな活動してたので、最初から「女優になりたい」という思いがずっとありました。

推:女優として活動して、良かったと思うことはありますか?

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
単純にお芝居が楽しくていろんな作品に関わるのも楽しいです。
女優になってみて、色々な人との関わり方とか、普通に生活してたら気付かないこととか、見逃しちゃうことを日常から探すようになりました。
中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
この人は何を考えてこういう行動したんだろう?とか、そういうのも楽しいし、勉強しようと思って作品を見たりもしています。
例えば新選組だったらそういう知識も増えたりもします。

社会的な問題の映像作品とかだと知らない事や全然気にかけてなかった事に、「こういう人たちってこういう事情があるんだ! こういう問題があるんだ!」みたいなことを知るきっかけができるのも女優をやってるからなのかなと思います。

中﨑絵梨奈

推:色々なジャンルの作品に出演されているからこそですね。中でも思い出に残ってる役はありますか?

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
舞台『寓話のゴーグル』のヒロインを初演と再演で2回演じたことあります。
普通にOLをやってる人がストレスで幼児退行していくっていう役でした。家族の問題だったり旦那さんとの問題だったりなどを抱えていて結構精神的にくる役で、「役に没頭する」みたいな感覚に初めてなれたのがその時でした。
中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
お芝居はやりたいけど芝居の楽しさってよく分からないみたいなことが続いている時で、『寓話のゴーグル』で初めて「お芝居楽しい!」と思えました。
「役を演じるってこういう事なのかな」と思えた作品だったので、自分の中ではひとつのターニングポイントでした。

女優の楽しさを知れたし、役に対してここまで深く掘り下げるものなんだ!って知れたのもそこだったかもしれないです。

推:『寓話のゴーグル』初演と再演のヒロインを演じる際に気をつけたところとかありますか?

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
初演が2020年、再演が2023年と3年の月日が経っていたので、初演と全く同じく演じるのは違うなって思いました。また、その3年間の経験で、初演の時は感じてなかった想いとかも増やせるなと思ったので、脚本が変わった点も掘り下げて、3年前とは違う凛ちゃんを意識しました。多分もう演じることはないだろうなと思ったので、凛ちゃんとしてちゃんと完結させようと、後悔のないように演じました。

 

『卍リバース』で弥生を演じてる中で怖いなと感じました

推:出演される映画『卍リバース』は、どのような作品ですか?

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
谷崎潤一郎さんの名作のアレンジで今回は男女逆転しているんです。
大きくまとめると、すごく愛について描かれていて、ゆがんで行き過ぎた愛を表現している作品です。愛以外にも社会とか多様性などいろいろ感じるものがあって、同性愛に関しての価値観とか、そういう「”愛”+”なにか”」みたいなものもあります。
中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
内容が深かったりするので、気軽に「休日に卍リバース行こうよ!」みたいな感じにはならないかもしれないです。「どうする?見る?」みたいになっちゃうと思うんですけど、いろんな視点のいろんな愛の形もあって考えさせられるものもあるので、若い人にこそこういう作品を見てほしいなって思っています。

しかも綺麗な映像で撮ってもらっているので、考えすぎずラフに観ていただいて、それぞれ観終わった時に心に残るものが違う気がするので、それについて何か考えるきっかけになる作品になればいいなと思います。

中﨑絵梨奈

推:作品の中で演じる『弥生』はどんな人物ですか?

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
弥生は出演してくるこのキャラの中で1番まともというか常識人でモラルがすごいあって、皆さんが普通に「これは超えちゃいけないぞ」ってラインを保って生きている人だったんです。けど、途中からある事をきっかけに落ちていくんです。

本当にもうズブズブになっていっちゃうので、演じてる中で怖いなと感じました。

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
普段普通に生きてるけど、何かをきっかけに自分も「弥生みたいになってしまう可能性がどこにでもあるんだな」とちょっと怖かったです。
そういうのを皆さんにもこれを見て、「自分ももしかしたらなり得るのかもしれない?って感じてもらえればいいな」と思いながら弥生を演じました。

中﨑絵梨奈

推:弥生を演じる上で自分と重なるところや、似てるなって思うところとかはありましたか?

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
似てるところは、日常のモヤモヤとか疑問とか不満とかをギリギリのラインで保ってる状態みたいな事がたまにあるなと。それを表に出さずに自分で抱え込んでる。みたいな部分は、ちょっと重なる部分だと思います。

推:逆に全く違うところはありますか?

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
う~ん、弁護士にはなれないなぁ(笑)

推:職業ですか(笑)

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
最初に難点だなと思ったのが弁護士かぁ~って。弁護士ってどんなんだろう??と思いました。

推:想像だけだとちょっと難しそうですね。

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
そうですね。弁護士って思うと強くなりがちなんですけど、弥生として強くなりすぎるのも違うと思って。でも弱すぎても違うみたいな。
弁護士かつこの弥生のキャラってどんなんだろう?って考えるのはすごい難しかったです。

中﨑絵梨奈

 

女優としてターニングポイントの作品にしたかった

推:この作品では女優人生の中でも体当たりな演技だと思いますが、『弥生』をやるとなった時の心境を教えてください。

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
濡れ場とかもある作品なんですけど、私は本当に濡れ場自体に全く抵抗はなくて。
作品の中で必要とされているシーンなのであれば、表現のひとつとしてご飯を食べるのと同じ感覚で「やります!」でやれるんです。そのぐらい表現のひとつで「頑張ります!」っていう意気込みでやりました。
中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
だた、応援してくれてる人から見てこの作品をやるのはどう映るんだろう?どういう反応されるんだろう?みたいな怖さや不安がとてもありました。
「やりたいしやるけど怖い」みたいな葛藤もありました。

でもやっぱり女優としてターニングポイントの作品にしたかったので、そこは自分の決意として、ファンの人には「中﨑絵梨奈の女優人生の成長のひとつ」として見守ってもらえてるように真摯に取り組みました。

中﨑絵梨奈

推:アイドルの頃から応援してる方とかは、ちょっと複雑な気持ちになるかもしれませんもんね。

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
そうなんですよね。

推:『弥生』を演じるうえで、特に気を付けていた点はありますか?

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
弥生は本当に「普通であるべきだな」と思って演じました。
価値観、考えていること、行動とかも、みんなが当たり前に選択する行動や思考をベースに持った状態で、そういう人が駄目になっていくからこそ見てる人たちは面白いのかなって思ったので、普通をすごく大事にしました。

推:今回の作品が『インモラルな関係』をテーマにしていますが、撮影現場の雰囲気は過去に出演した作品と違うなと感じた点はありますか?

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
とても皆さん雰囲気良くて、楽しい現場でした。本当に何でも言えるし、楽しくワチャワチャしたりしていました!
こういう作品だからピリピリするとかそういう独特の雰囲気とかは全くなかったです。

中﨑絵梨奈

推:作品とか関係なく皆さん仲良く撮影してたのですね。

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
そうですね。男女共に、ちょっとドロドロしたシーンとか濡れ場とかもスタンスが「表現のひとつだったら 別に」みたいな感じだったので、「どうだった?」「頑張ってね!」とか声を掛け合いならがやってました。

推:最後にファンの方に向けて、作品の中で特に見てほしいポイントを教えてください。

中﨑絵梨奈
中﨑絵梨奈
ファンの方からしたら刺激的なのかもしれないですけど。
ベースは「弥生の心情をどう表現してるのかな?」みたいに楽しみながら作品を見てほしいです。

あと、体を絞った期間でもあって「スタッフさんには背中が綺麗だね」ってすごい褒めてもらったので『中﨑の背中』を楽しみに見に来ていただけたら嬉しいなと思います(笑)

 

撮影:ケン木村

中﨑絵梨奈
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